託した人
佐々木 慎二さん
Profile
安芸高田市出身。呉工業高等専門学校電気科に進学し、広島大学の工学部に編入。卒業後は広島FMに就職し3年後、家業の佐々木電機に就職。平成9年に社長に就任し、会社を任される。
引き継ぐ時期を明確にしてスムーズな事業承継を実現
託した人
佐々木 慎二さん
Profile
安芸高田市出身。呉工業高等専門学校電気科に進学し、広島大学の工学部に編入。卒業後は広島FMに就職し3年後、家業の佐々木電機に就職。平成9年に社長に就任し、会社を任される。
受け継いだ人
中浦 正雄さん
Profile
安芸高田市出身。崇徳高校卒業後、長崎総合科学大学に進学。大阪の輸入雑貨商社に就職し、広島の百貨店に配属される。叔父の慎二さんの声かけで、佐々木電機に転職。
1950年に創業した佐々木電機は家電の販売だけでなく、地域の方の困りごとに応える何でも屋さん。水回りなどのリフォームやオール電化、害獣対策のための策の設置など、土木、水道、建築など多岐に渡るサービスを提供しています。「佐々木さんの所に行ったら何でもしてくれると言ってくれるお客さまの声に応えたくて、頼まれたことは何でもやってきました(笑)」と話すのは2代目の佐々木慎二さん。7割以上が町内のお客さまで、2代、3代に渡って利用する人も多いと言います。創業当初から顧客の依頼に真摯に、そして丁寧に向き合うことで実績を築き、信頼を得て地域の唯一無二の存在へと成長してきました。2代目の慎二さんが先代から事業を受け継いだのは39歳の時。大手の量販店が市内に進出し、町の電気屋としての売上が減少している時でした。慎二さんは、生き残りをかけてエディオンのフランチャイズに加入し、旧道沿いだった店舗を県道沿いに移転。「借金をすることになりましたが、若さも元気もあったからできた決断でした」と振り返ります。
資格を取得し、現場でユンボを使いこなす正雄さん。屋外での作業もお手の物。町の電気屋さんの域を超えた、幅広いニーズに応えています
そんな慎二さんは、60歳になったら甥の中浦正雄さんに事業を承継すると心に決めていました。「周りには、まだ若いのになぜ?体調が悪いの?とよく聞かれました。借金返済の目途が立つのが60歳だったこと、そして何よりも渡す方も受け継ぐ方も元気で体力があるうちに引き継ぎたかった」と話します。急なハプニングで慌てて事業を継承するよりも、準備をしっかりしながら引き継ぎの期間を長くとれること、計画的に進めることができること、正雄さんがいつでも質問ができる環境であることなど、多くのメリットがあると考え、この道を選択。社長と専務として20年間一緒に働いてきた正雄さんも、「いつか自分が継ぐんだ」という高い志を持って、仕事に取り組めたと言います。具体的に話が進み始めたのは、事業を承継する1年ほど前のこと。商工会を訪れ具体的な手順を確認し、税理士や公認会計士などの専門家とともに準備を進めました。
一方、正雄さんも決算書の見方を学ぶセミナーに参加したり、HPをリニューアルしたりしながら着々と準備を進めてきました。こうして、2020年無事に事業を継承。現在は慎二さんが正雄さんをサポートしながら、以前と変わらぬメンバーで業務にあたっています。正雄さんは、「事業承継する前から法人会や商工会青年部に所属したり、消防団に入ったり、様々な活動を通して、事業を守る責任感みたいなものが生まれていました。心の準備がしっかりとできていたので、安心して引き継ぐことができました」と話します。これからの目標は、これまで先代が築き上げてきた信頼をこれから先もずっと守っていくこと。人口が減り、高齢化が進む中、量販店との差別化を図るにはこの道しかないと考えています。「時代の変化とともに変わっていくニーズにも応えるためには、法改正の勉強や新しい資格の取得が不可欠。依頼があれば、新しいことにも積極的にチャレンジしていきたい」と前を向きます。仕事柄、急な案件が多く、とにかく一日が目まぐるしく過ぎていく正雄さん。それでも、「一人ひとりのお客さまと向き合うことを大切にしたい」と創業以来大切にしてきた想いまでも、しっかりと受け継いでいました。
正雄さんが代表取締役になって、新たに取り組んだことがあります。それは社内業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化。DXとは、アナログ業務をデジタル技術を使って効率化、スマート化していくというもの。正雄さんは社員のスケジュールが共有できるシステムを導入し、現場の場所や進捗を確認できるようにしました。状況の把握がすぐにでき、業務の効率化に繋がっています。今後もさらなるDX化を進めていく予定。こうした取り組みを慎二さんも頼もしく感じています。「お客さまのニーズに応えるために、私たちもアップデートしていく必要があります。移り変わるニーズに敏感に反応しながら、高齢者の方、若いファミリー層、どんな方にも頼られる電気屋をこれからも目指していきます」と正雄さんは話しました。
モニターには、誰がどの現場にいついるのかが分かるスケジュールが映し出されています。情報を共有できるようになり、業務がスムーズになりました
エディオンのフランチャイズとして、家電などを販売する町の電気屋さん。創業当初からそれだけにとどまらず、リフォーム、鳥獣対策用の柵の設置など、広がるニーズに応えて新しいサービスを提供し続けている。決して「できない」とは言わない、地域の人々のライフラインを担う頼れる存在。